令和3年4月1日以降に建築確認申請や工事着手を行い、新たに旅館業施設を始めようとするものは,「京都市宿泊施設の建築等に係る地域との調和のための手続要綱(略して「地域との調和のための手続要綱」)」に基づき、京都市との事前協議及び構想段階での近隣住民等に対する周知,説明を行うことになりました。ここでは、この新ルールの概要を見ていきます。
新ルールが適用される宿泊施設
対象となる行為
「宿泊施設の建築等」
この要綱では、「宿泊施設の建築等」を以下の2つの行為に分けて規定しています。
①市街化区域内(括弧内省略)において,宿泊施設を新築,増築,改築,若しくは移転すること
②建築物の用途を変更して宿泊施設とすること
①宿泊施設の建築
対象となる宿泊施設を「新築,増築,改築,移転」する場合、このルールの対象となります。この要綱中で使用される用語は、原則、建築基準法及び同法施行令の例によるとされているため、ここでいう「新築,増築,改築,移転」とは、建築基準法第6条で規定されているものと同義であると考えられます。
②宿泊施設への用途変更
既存の別用途建物(戸建ての住宅など)を宿泊施設に用途変更する場合も、このルールの対象となります。
ここで注意が必要なのは、確認申請が不要となる200㎡未満の用途変更であってもこのルールの対象となるということです。
※上記の場合でも、例外的に適用対象外となるケースがあります。詳しくは要綱の第12条をご確認ください。
対象となる区域
市内の市街化区域全域が対象エリアとなり、「宿泊施設対策重点区域」、「地域まちづくり協議区域」の2つに分かれます。
宿泊施設対策重点区域
概ね北大路通,東大路通,西大路通,十条通の各沿道から,外側25mのラインに囲まれた地区を指します。
この区域で宿泊施設の建築等を行う場合は、近隣住民等(※)に対して構想の内容を説明しなければなりません。
※ 近隣住民等=宿泊施設の敷地から15m以内の土地や建物の所有者、占有者、又はその範囲内で活動を行う自治会、町内会、商店会等の代表者。詳細は要綱第2条2項4号参照。
地域まちづくり協議区域
地域まちづくり方針(建築協定など)がある地域で,地域まちづくり組織(※)からの意向により指定される地域です。令和3年3月頃から随時指定予定とのことです。
この区域で宿泊施設の建築等を行う場合は、近隣住民等に加えて、地域まちづくり組織に対しても構想の説明が必要です。
※ 要綱第2条2項7号、第13条参照。
手続の内容・流れ
手続きの流れは、以下のとおりです。
(1)市との事前協議(工事等を着手する前)
(2)計画敷地への標識(構想の概要を記載したもの)の設置
(3)地域住民等への説明
(4)説明の状況を市へ報告する
まとめ
いかがだったでしょうか。概要だけ見てみても、なかなか手間のかかる手続きだということがわかります。このルールはスタートして間もなく、私もまだわかっていないことが多いですが、今後新たな情報を入手して随時更新していきます。